ゲストAチャンネル【変なビジネス書の読書家】

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「これからの正義の話をしよう、いまを生き延びるための哲学」(マイケル・サンデル)【テスト】

■正義とは何か
本書の結論は、正義について議論し「続ける」こと。
正義には、3種類のタイプがある。
A.幸福の最大化(多数派こそ正義)
別名を「最大多数の最大幸福」や「功利主義」と呼ぶ。トロッコ問題では、車掌として5人ではなく、1人を選択した方である。

メリットは、合理的でロジカルに考えられること。何が正義かについて議論すると、結論が曖昧になる。しかし、幸福の最大化では、何人が得をして、何人が損をするのかを計算するため、正義の答えが理由と共に明確になる。このため、周囲の納得も得られやすい。

デメリットは、少数派や社会的弱者には残酷であること。例えば、チェコの政府内で「タバコに対して、より重い税金にするべき」という話題が持ち上がった。これに対して、タバコメーカーが「重たい税金にしないで、タバコを多く売る方が、国の財政は潤う」という調査報告書を提出した。この理由は、タバコに重い税金をかけても、税収は上がらない。しかし、タバコを売って早死する人が増加すると、医療費や年金が削減できる。金額にすると、約10万円の得になる。

B.自由の尊重(自分自身で自由に決定することが正義)
これは「幸福の最大化」の対案となるもの。多数決の前に、個人の自由が侵害されない前提を守らないと、正義とは言えない。「自由の尊重」とは、自分の自由な意思や人権を尊重されるべきだし、自分の選択肢を自由に決定するようにすることである。

メリットは、少数派の意見も尊重してくれること。例えば、同性同士の結婚について。多数派は異性同士の結婚のため、同性同士の結婚について検討する余地もない。しかし「自由の尊重」では、ひとりの人間の自由な選択を邪魔してはいけないため、認められやすい。この「自由の尊重」は、ダイバーシティや多様性を重要視している、現代社会に適している。

欠陥は「自由の尊重」を徹底すると、「自由至上主義」や「リバタリアリズム」になる。完全なる自由を正義と主張する人物を「リバタリアン」と呼ぶ。彼らは、政府による個人の介入を嫌う。例えば、税金をオカシイと主張する。自分がリスクを取って努力の末に獲得したお金を、税金として徴収して、知らない人に再分配すること。これは、自分の人生を国に管理されているため、奴隷と変わらないと主張している。つまり、デメリットは、他人の自由を侵害しない場合は、どんなに危険な欲望でも、全て叶えるべきということ。

C.美徳の促進(国や宗教など、そこのルールや美徳に従うことが正義)
著者のマイケル・サンデルは、幸福の最大化や自由の尊重に批判的である。彼がオススメしている正義とは、美徳の促進である。全員が共通して善いと思える理想像を、議論して作り上げる。それを「共通善」と定義して、これを正義とする。

自分の正義感は、自分の内側から自然と作り上げられるのではなく、国や宗教などの外部からの影響を受けて作り上げられる。このため、国や宗教が共通善や理想像を作り上げて、小さい頃から教育していくべき。これが著者の主張である。

デメリットは、美徳の促進は理想論であり、これを実現することは不可能であること。各個人の生い立ちや会社文化が違うため、国や宗教が共通善をリードして作り上げても、個人達は団結できない。

「これからの「正義」の話をしよう、いまを生き延びるための哲学」(マイケル・サンデル